日光に当たると、ほどなくして皮膚が赤くなる。一見、敏感な肌が日焼けしたかのようだが、日焼けとはメカニズムが異なる「日光蕁麻疹(じんましん)」かもしれない。程度によっては生活に支障がでるケースもあり、薬や服装などの習慣で症状を抑えうまく付き合っていくことが肝心だ。
和歌山県の女子高校生(17)が「日焼けとちがう何か」に気づいたのは2023年秋。旅行で車の助手席に長時間乗っていたところ、両ももの肌が赤くでこぼこした質感となり、かゆくなった。
よく晴れた日だったが、車のガラスは紫外線(UV)カット仕様のはず。なぜかわからず戸惑ったものの、屋内に入りしばらくすると症状は治まったため、当時はそれ以上気にとめなかった。
だが、その後も登下校の際などに日に当たると同じ症状が出た。頭が痛がゆくなることもある。初めに症状に気づいてから数カ月後、近所の皮膚科を受診し、アレルギーの可能性を指摘された。その後、和歌山県立医科大で問診や検査などを受けた結果、日光蕁麻疹の可能性があるとわかった。
日焼けと日光蕁麻疹では、症状とそれをもたらす光の波長が異なる。日焼けは皮膚のやけどと、色素細胞によるメラニン増加で肌の色が濃くなることが主な症状。UVの中でも波長が280~320ナノメートル(日本皮膚科学会のウェブサイトによる、気象庁のサイトでは280~315ナノメートル)のUV―Bが細胞を傷つけることなどによって起きる。
一方、日光蕁麻疹は花粉症などと同じアレルギー反応だ。通常は病原体や異物を排除するための免疫が過剰に反応し、炎症を起こす。過剰な反応のきっかけとなるのが日光で、特に波長がおよそ400~800ナノメートルの可視光であることが多い。そのため、UVカットのガラスや日焼け止めなどでは防ぐことができない。
和医大付属病院皮膚科の塔筋(とうすじ)恵実さんによると、蕁麻疹患者の約0.3%が日光蕁麻疹だという。臨床の現場では肌の色の薄い女性の受診が多いが、症状に気づきやすいためで、性差はないとされる。
日焼けと比べると症状が現れ…